ミスト

リレー小説

ミスト

1   飛鳥まこと

私は今車を運転している。ジャリの道をえんえん二時間も走ってきた。疲れて当たり前である。助手席には私の娘エリザが退屈そうに座って外をながめている。 「パパあ、おばさんの家ってまだなの?」 私はもうちょっとだよ、と答える。 こんな会話をさっきからもう何回も繰り返している。外にはもう既に夕闇が訪れ、満月がバックミラ−に映っている。 おばさんの家、つまり私の妹の家なのだが、私は妹に会ったことがなかった。わたしは孤児で、施設で育ったのだ。そして、この間まで妹がいるということすら知らなかった。それが、なぜ今妹の家にむかっているのかというと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 その発端は、一週間前私に届いたあの手紙からだった。

2   番手英二(久しぶり!)

手紙には女の繊細な筆跡でこう書かれていた。

 おにいさまへ・・・    来週の日曜の午後七時、拙邸にてお待ちしています。

この手紙の差出人の名前はなかった。本当に私の妹なのかは分からない。 ただのいたずらと片づけることもできただろう。 エリザと遊園地で休日を過ごした後、この手紙のことを思い出して車をその住所に走らせたのは、私のまったくの気まぐれからだったのだ。

3   TAM(飛鳥さんどうも)

キキーッ!! 私は一瞬のうちに回想から現実に引き戻された。 必死にハンドルを切ると車を停止させる。 「パパ! どうしたの」びっくりして私にしがみついてきたエリザを抱き寄せながら、私は黙って窓の外を指さした。 道の真ん中に誰かが倒れていたのだ。

4   つらぬき丸(東京狛江市)

私は慌てて車を止め、駆け寄った。 倒れているのは初老の男だった 「もしもし、どうしました!?」 私は恐る恐る聞いた。 夕闇が迫り、あたりに人影はなかった。男は突っ伏したまま動かなかった。私は何か冷たいものが背筋を走るのを感じた。ふと振り向くと、車の中にエリカの姿はなかった。冷たい風がながれていった。

5   TAM(つらぬき丸さんどうも!)

「エリカ!」 夜風の勢いが増した。 私の叫び声も虚しくかき消される。 訳が分からぬまま、倒れている男を車に運び込んだ私は夢中で車を屋敷に向けて走らせた。 電話、警察、捜索……言葉の断片だけが頭の中を駆けめぐる。 頭が混乱していた私は、背後から近づく手に気づかなかった。

6   ケイ

「???」  鼻を突く臭いとともに口が塞がれる。  クロロホルム・・・ドラマなどでよく使われるやつだ。  だがそれを認識するよりも早く意識の方が遠のいていく。  薄れ行く意識の中、私はエリカのことだけを考えていた。

 ガードレールに側面を擦り付けながら車は電柱に衝突して 停止した。静かな郊外の夜の街にクラクションが不似合いな 悲鳴を上げ続けていた・・・。 

7   TAM(ケイさんこんにちは)

「キャーッ」 私は朦朧とした意識の中でエリザの叫び声を聞いていた。 「エリザ!」そう叫ぼうとしたが、体が言うことをきかない。 なぜこんな目に遭わなければいけないんだ? さっき娘の名前を間違えたからか? 許してくれ、おれが悪かった……。 「許すわけにはいかないわ」 おれが意識を取り戻すと、そこには見知らぬ女が立っていた。

8   ケイ(TAMさんどうも!)

女は強いライトで私の顔を照らした。 逆行で顔はよく分からない。 しかしその声には聞き覚えがあった。 どこか懐かしい感じがする・・・。 そんなことに頭を悩ませていると女は私の腕を取った。 「立って。今の事故で警察が来るわ」 よろめきながら何とか立ち上がろうとするが、下半身に 感覚がない。 そんな私を見て少しいらだったのか女は自分の背後に声 をかけた。 「運んで」 黒のスーツに身を包んだ男が姿を見せる。サングラスで やはり顔はよく分からない。まるで最近見た映画の中に 見た男のようだ。 私は男の肩に担ぎ上げられ、角に停めてあった黒塗りの ベンツに連れ込まれてしまった。

9   TAM(前に「見知らぬ」って書いたけど、ま、いいか……。)

「エリザ、エリザは……?」 走るベンツの中で、私はうわ言のように繰り返し呟いた。 だが、運転席の男も助手席の女も何も答えてはくれない。 「エリザ……」 おれが呻き続けていると、見かねたのか、女が口を開いた。 「……大丈夫よ。屋敷に来れば会えるわ」 「ぶ、無事なのか?」 「それはあなたの目で確かめる事ね」 その時、雷光がベンツの室内を照らした。 それに続いて大音響が山道に響きわたる。 おれは言葉を失った。 バックミラーに映し出された女の顔はエリザと瓜二つだったのだ。

10   ケイ(また気を失わせちゃった(^.^!3)

「エリザ!?」  ミラーの中の女は視線だけを私に向ける。  「違うわ……でも」 「お嬢様」  女は何かを話しかけたが、運転席の黒服の低い声の 制止で口をつぐんでしまった。不安をかき立てられた 私は女に続きを求めようとした。しかし突然視界から 前方の景色が消えた。前部座席と後部座席の間に黒い 壁がせり上がったのである。  壁を叩こうと腕を伸ばしたとき、再び雷鳴が先ほど より遙かに強烈に響いた。車を縦に揺らすほどの振動 がシート越しに伝わり、私の体が浮き上がる。前に乗 り出していた私は体を支えることができなかった。頭 がルーフ裏に激突するのを感じるより早く、私の意識 は再び遠のいた……。

11 レイドック   ハッサン

気がつくとそこは南の島だった。

12   TAM

ハッサンさんこんにちは

熱い砂浜。打ち寄せる波。 照りつける太陽が眩しい。 「ここは……?」 立ち上がった私は、慌ててすぐに またしゃがみこむと体を丸くした。 私は素っ裸だったのだ。

13   ケイ(意外な方に行くなあ)

「日差しが強い……」  私は気がついてから、かれこれ二時間程辺 りを探索している。しかし誰にも出会うどこ ろか人が存在する痕跡すらない。  とりあえず自分の下半身はバナナの葉でこ しらえた急造のミノで覆っていた。    いくら気を失っていたとは言え海外までは 連れて来られてはいないと思うのだが、まわ りは明らかに熱帯系と分かる植物が繁茂して いる。

 しかし、どうもチクチクと痛い。

 まわりには誰もいないようだし……

 私は思いきってミノを外し、生まれたまま の姿になってみた。  思いの外、心地よい。ヌーディストの気持 ちが分かるような気がする。

 そんなちょっとした快楽に酔いしれていた とき、突如の森の中から爆音が轟いた。見や るとそれは、軍用のヘリだった。  2.0の視力を凝らすと、パイロットはな んとあのエリザ似の女性のようだ。

 間抜けにも私が起こした行動はまず下半身 を手で覆うことだった……。

14   TAM(長篇になりそう……)

「お〜い」 赤面しつつも私がそう叫ぶと、ヘリは一直線にこちらへと急降下してきた。 だが、着陸するためにしてはいささかスピードがありすぎる。 「な……!?」 よく見ると、ヘリの側部からはモクモクと黒煙が吹き出していた。

15   ケイ

見る見る墜落して来るヘリ。 そのときコクピットからパイロットが飛び降りた。 黒い髪をなびかせてこちらに向かって来る人影を見て 私は叫んだ。 「エリザ!」

 閃光が走る。

「大丈夫?」 まわりを見渡すと、そこはベッドの上だった。 状況を把握出来ないでいると、枕元の女が説明した。 「車が雷の直撃を受けたのよ。私と彼は大して事は なかったんだけど、後部座席はショックが大きかった ようね」 見るとドアの近くに、黒服の男が立っていた。 「ようやく思い出した。ということはここは……」 「そう、私の屋敷よ」

16   TAM(第1回作者の飛鳥さん見てますか〜?)

何だ、南の島での出来事は夢だったのか……。 ホッとした私は部屋を見渡そうとベッドから起きあがり かけたが、すぐにまたベッドへととって返した。 私は夢の中と同じく素っ裸だったのだ。 「何も恥ずかしがる間柄でもないでしょ……」 エリザ似の女性はまるで気にする様子もない。 私は思いきって口を開いた。 「き、君は一体……何者なんだ?」 「まだ分からないの? 私は……」

17   ケイ(おひさしぶりですぅ)

「あなたの娘よ」 「???」 「妹と言うのはあなたをおびき出すためのワナ」  不敵で妖艶な笑みを浮かべる娘と名乗る女。 しかし、醸し出す雰囲気は私の娘の物ではない。 いや、それ以前にいくら何でも年齢が違う。 呆然としていたとき、 「お嬢様」 黒服が依然と同じ抑揚のない言葉を発した。 男に注意された女は、今度は視線に侮蔑を含めて 平然と言い放った。 「ウソよ」 「はっ?」 「娘の訳ないでしょう。  私はあなたの妹、クルス。  ようこそお兄さま」  言葉の内容とは別に肉親に対する少しの親しみも 感じられなかった……。

18   ぴょんすけ

ところでなぜ裸にさせられたのだろう?

私は思いきって尋ねてみた。 「今から南の島へ行くのよ..服を着てたら暑いでしょっ。」 「あっそうそう。すこし改造しておきましたよ。」 私はさりげなく下腹部を見ると、思わず叫んでしまった。 「なんで、馬の性器がついているんだっー!」 しかし、その頃黒服の男はヘリの手配をしていた。

19   並木

 一体何が本当で、何が夢なのだろう?私は混乱して、自分の腕に爪を立てて強く握ってみた。痛みは無かった。これも夢なのか。  じゃあ、本当の自分は今、一体どこでどうしているのだろう?私は少しでも冷静になろうと努力して今まであった事を思い返してみた。

 『私は生き別れの妹の家に招待された。自分で車を走らせ、娘を助手席に乗せて、初めて妹の家に向かっていた。途中で道に人が倒れていて、車を止めて安否を確かめに車から降りた。』ここまでは、夢では無い筈だ。娘のエリザが私の腕にしがみついた感触を覚えている。

 …そこまで考えて、私は娘のエリザの事が無償に気になり始めた。私の可愛い娘はどうしているのだろう? 早くこの夢から目覚めなければ…。だけど、どうやって?どうしたら自ら夢から醒めるなんて事ができるのだろう? 私は気ばかり焦り、もがき続けた。

20   ばっく

はっ 再び景色が一変する

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