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REAL THING

リレー小説

REAL THING

第 1 話   Tak

幼なじみの回し蹴りをまともにくらって、気絶した時、さすがに落ち込んだ。
オレって空手に向いてないんじゃないか?
と、思った。
相手が女の子、それも学校で1、2を争う美少女だったということも自分への自信喪失に、拍車をかけていたのだと思う。
でも、目が覚めた時、目に飛び込んできた見慣れたはずの幼なじみの顔は、ハッとするほどキレイだった。たとえそれが、涙を目に溜めながらの笑顔だったにしても。

第 2 話   Tak(M78星雲)

キーンコーンカーンコーン

終業の合図。
ザワザワといっせいに教室が騒がしくなる。
斎藤昌樹は、次の授業の用意をしようと鞄を
かきまわしていた。
「斎藤くーん。何してんのかな?」
昌樹の友人、いや、親友と呼べるかもしれな
い黛浩一が昌樹の机の側に立っていた。
「見て分かんだろ?授業の用意だよ。」
幾分ぶっきらぼうに答える。
「何言ってんだよ。いつからお前そんなに真
面目になったんだ?」
浩一はそう言ってアハハと笑う。
「そんなことより一体何の用だよ?お前が斎
藤くーんなんて呼ぶときは、大抵何か頼みが
ある時なんだ。」
「あ、分かる?」
浩一は悪びれずに言ってのける。
「で、何だよ?」
「飲もう。」
「は?」
「だから、飲もうって言ってんだよ。神谷や千
歳ちゃん呼んでさ。」
「・・・・・・・。」
「な、いいだろ?」
昌樹は少し沈黙する。
「お前が一緒に飲みたいのは俺達じゃなくて
千歳なんだろ?」
「うっ・・・・。」
昌樹の問いは限りなく核心に近かったようだ。
「そうだろ?」
だりだりっと汗をかく浩一。そうしているうちに
開き直ったのか、急に胸を張って口を開いた。
「ああ、そうだよ。いいじゃないか。彼女はこの
学園の男子生徒の憧れの的なんだ。幼なじ
みのお前がいなきゃ一緒に遊べるワケ無いじゃ
ないか。」
「・・・・・・・。」
「な、頼むよ。俺とお前の仲じゃないか。」
そう言って昌樹の前で両手を合わせる浩一。
(まあ、しょうがないか。コイツの頼みだし。)
昌樹ハァと一つため息をついた。
「別にいいよ。」
そう言った途端バッと浩一が顔を上げる。
「いいのか?」
「だから、別にいいって。そんくらいの事。俺
から話を通しとけばいいんだろ?」
「うん、うん。ありがとう、斎藤君。持つべき物
は、やはり親友だ。」
浩一は大袈裟に涙まで浮かべている。
「その代わり、お前滝川さんに声かけてくれよ。」
「滝川って、滝川茜?ウチのクラスの?」
「そう。」
「へー、お前アイツのこと好きだったのかよ?」
「バ、バカ。別にそんなんじゃねーよっ。ただ
バイト先一緒でさ。今度一緒に飲もうって無
理矢理約束させられてたんだよ。俺、彼女苦
手だからさ。」
「ふーん・・・・」
浩一は昌樹を横目で見つめている。
「な、なんだよ。」
「まあ、そういう事にしておきましょう。O.K伝
えとくよ。」
「ああ。頼む。」

ガラガラッ
「こらっ、とっくにチャイムはなっとるぞっ。さっ
さと席に着かんか。」
英語の小山田のダミ声が教室に響き渡る。
「あ、やべっ。そんじゃあ頼むぜ。」
「そっちこそな。」
浩一は親指を突き出しニヒルに決めたつもり
のようだ。
「似合わねーよ。」
そう呟くと今度こそ昌樹は鞄から教科書を取
りだした。

第 3 話   Tak

昼休み。
昌樹は、浩一との約束を実行すべく席を立った。
すでに浩一の姿は教室の中には見当たらない。
恐らくは滝川茜にアプローチをかけているのだろう。
滝川茜は活発な少女だ。いつも楽しそうにしている。
一つの場所にじっとしているのが苦手なタイプ、
そう昌樹は分析していた。

女生徒の集団に単身男だけでのりこむのはとても
勇気のいることだ。昌樹は数人の友人達とにこやかに
談笑している千歳を見ながら思った。
(こいつはツライな・・・・・・)
一瞬、躊躇する。だがすぐに親友の笑顔が脳裏に浮かぶ。
(えーい、いけっ昌樹!)
昌樹はそう自分を奮い立たせると、きゃいきゃいと黄色い
声を上げている集団に向けて歩き出した。
「おい、千歳。」
昌樹の呼びかけに、それまで話していた彼女達が
一斉に口をつぐむ。そんな事はないだろうが、周りの
人間の視線を大量に感じる昌樹。
「なーに、まーくん。」
千歳が昌樹の問いに答える。
「お前なあ、いい加減にそのまーくんっての止めろよな。」
「えー、いいでしょ。まーくんはまーくんなんだから。」
拗ねたように反論する。
ハアと昌樹は心の中でため息をついてしまう。
そんな両者の様子を興味津々といったかんじで見ている
千歳の友人達。
(ここじゃまずい・・・・・)
そんな彼女たちの視線を感じながらそう結論ずける昌樹。
「それより、ちょっと話あるから時間いいか?」
一瞬、きょとんとする千歳。が、すぐにその端正な顔に
満面の笑顔を浮かべると、
「うん!」
と、本当に嬉しそうに答えた。
見慣れたはずの幼なじみの笑顔に軽いときめきを覚え、
それを勘ぐられないように昌樹はわざとぶっきらぼうに
口を開く。
「じゃあ、早く来いよ。」
「分かった。じゃあ、ちょっと行ってくるね。」
千歳は友人達にそう言って、もうすでに歩きだしている昌樹の後を小走りに追う。
「待ってよ、まーくん。」
追いつき二人並んで教室をでる。しかし昌樹は、後ろ手に」閉めた教室のドアの隙間から、キャーという
友人達の悲鳴にも似た声に顔を赤くしていた。

第 4 話   猫目4

「なっ。頼む!!」
俺は千歳を拝むようにして頼み込んだ。

「別に飲みに行くくらいいいわよ」千歳はあっさりと
オーケーした。

第 5 話   仙太郎

「……で、いつなの?」
「え?何が?」
「だから、飲み会の時間よ。」
言われて、俺は公平との会話を頭の中に流す。
…………。
「すまん。聞いてなかった。」
ハア、と、千歳がため息をついた。

第 6 話   並木

「とにかく、時間がわかったらメール入れるから。」
昌樹は早々にその場を後にした。昼休みが終わって、午後の授業が始まったが、浩一は帰って来なかった。
「黛!黛浩一は欠席か?」
先生が浩一の机を見て、確認するように言った。誰も返事はしなかったが、先生は出席表に書き込んで授業に入った。

 結局、浩一は午後の授業のすべてをサボり放課後になっても戻らなかった。鞄はまだあるので帰ってしまったという訳でもないようだが、塾の時間も迫っていたので昌樹は浩一を待たずに下校した。

 翌日、浩一は学校には来なかった。鞄も無いので昌樹が帰った後に一旦戻ったのだろうが、何があったのだろう。昌樹は心配になって滝川茜が昨日浩一を見かけたか訊いてみようと思い、彼女の教室へ戸惑いながら向かった。浩一のことは、茜と話す口実だと思われるのが照れくさかったのだ。

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