- 追加された行はこの色です。
- 削除された行はこの色です。
[[コラム]] *私の萬棚 [#hc80ca4d] &ref(moepen.jpg,nolink);&ref(aishiri.jpg,nolink);&ref(yume.jpg,nolink);&ref(tokiwo.jpg,nolink);&ref(onnagata.jpg,nolink);&ref(nu24.jpg,nolink);&ref(moja.jpg,nolink); 初めてウェブサイトを作った1997年頃に作っていた名作漫画紹介コーナー。 Wiki導入にあたり数年ぶりに復活させました。 当時は背表紙だけをスキャンして加工して並べたりしていたんですが、今はアマゾンへのリンクを貼れば勝手に表紙画像が表示される……いい時代になったもんです。 とはいっても、絶版になってしまってアマゾンでは買えない本も多いんですね。もったいない。(2006.2) #contents **『藤子・F・不二雄の世界』(小学館) [#l5d1f64e] #amazon(4091025692); カラーイラストギャラリー、年表、プライベートアルバム、座談会など、この本には見所が数多くある。 しかし、何と言っても氏の傑作をB5という大判で読むことが出来ることが何よりの見所といえるだろう。 紙質も良く、この点でまさしく永久保存版といえる。 先日、「藤子・F・不二雄の世界展」へ行って来た。 各種グッズから恐竜の化石、奥様宛に出された手紙など様々な展示品がありとても素晴らしかったのだが、何よりも大量に展示されていた原画の数々に圧倒された。 これは見た人にしか分からないだろうが、長年藤子マンガに親しんできた私の知らなかったものが確かにそこにはあったのだ。 普通、漫画の原稿というものはある程度縮小した方が見栄えが良いものである。 しかし細部まできちんと書き込まれている氏の原稿は、実物大で見た方がはるかに綺麗に見えるのだ。 現在、印刷物で氏の生原稿に一番近いものを再現しているのはおそらくこの『藤子・F・不二雄の世界』であろう。 ぜひ購読をお薦めする。文庫本では見えない何かがきっと見えてくるはずだ。 **『仮面ボクサー』 島本和彦 (徳間書店) [#j262d479] #amazon(4198301875); 世界征服ジムによって改造された悪のボクサー達と闘う仮面ボクサーの物語。 『燃えよペン』と並ぶ、熱いギャグまんがの傑作。 腹の底から笑いたくなった時にお薦めの一冊である。 カバーの裏には「仮面ボクサー特別図解」もついていてお得。 **『ブラック商会変奇郎』 藤子不二雄(A)(秋田書店) [#w1e65a55] #amazon(4253170897); 骨董品屋の一人息子変奇郎は、中学生ながら不思議な力で大金を稼ぐ! 早い話が恐喝をするのだが、主人公の明るさとターゲットが悪人であるということが陰湿な感じを消している。 『魔太郎が来る!』の流れの作品だが、こちらの方がさっぱりとしていて読んだことのない方には取っつきやすいのではないだろうか。 ちなみに、去年出た文庫版では『シャドウ商会〜』と改題されている。 **『モジャ公』 藤子・F・不二雄 (朝日ソノラマ/中央公論社/小学館) [#f6f05271] #amazon(4091940331); #ref(moja.jpg,nolink,left) 藤子不二雄と言えば『ドラえもん』に代表される児童まんがが有名である。 この作品も表紙を見ただけでは同じ類の作品だと思われるだろうが、中身は全く違う。 ストーリーでグイグイと引き込む傑作SFまんがである。ハラハラしたい人にぜひ読んでもらいたい。 藤子不二雄と言えば『ドラえもん』に代表されるようにギャグがおとなしいと言われがちである。 この作品も表紙を見ただけでは同じ類の作品だと思われるだろうが、中身は全く違う。 至る所に細かいギャグがちりばめられている傑作ギャグまんがである。笑いたい人にぜひ読んでもらいたい。 ちなみに今放映されているアニメは信用してはいけない。 **『燃えよペン』 島本和彦(竹書房) [#ic19b001] #amazon(4091571913); #ref(moepen.jpg,nolink,left) 島本和彦と言えば『炎の転校生』に代表される熱血マンガが有名である。 この作品は『仮面ボクサー』と並んで、氏の熱血ギャグマンガの集大成といえるだろう。 男を感じたい時に読んで欲しい。 熱血マンガ家炎尾燃(ほのお・もゆる)の魂の叫びを聞くことができる。 ちなみにカラオケを歌う前に181ページを読むと感化されてとても良い。 **『ルードウィヒ・B』 手塚治虫 (潮出版社) [#p2ebb3cd] #amazon(406175937X); 絶筆となった3作品のうちの一つで、ベートーベンの伝記。 まんがで音楽を表すのは大変難しい。いかに音符を並べても、曲を聴いたことのない人にはまるでイメージが沸かないからである。 この作品では音楽を鳥のさえずり、流れる水、波、戦争における大砲などに模すことによってその問題を解決している。 これらイメージしやすい事物の描写によって音楽を感じることができるのだ。 しかし、この作品の売りは何と言ってもそのストーリーの面白さだろう。 伝記というと普通は淡々としていてつまらなくなりそうなものだが、非常にドラマチックで面白い。 『ブッダ』といい、何で手塚治虫が描くと何でも面白くなってしまうのか、不思議だ。 **『女形気三郎』 ジョージ秋山(小学館) [#zcf1cac7] #amazon(409183471X); #ref(onnagata.jpg,nolink,left) 髪結いの気三郎が女形に変身して女を弄ぶ悪人に裁きを下すというストーリー。 類型的なのだが、そこに安心感を覚える。 テレビなどでは時代劇といえば大抵、太平の江戸時代が舞台である。 私はそういったものは、歴史の力の持つダイナミックさに欠けるのであまり見ない方だった。 しかし、同じ類の作品であるこの作品にはなぜか惹かれるものがあるのだ。 不思議だ。 **少年&異色SF短編 藤子・F・不二雄 (中央公論社/小学館 他) [#r53cd64a] #amazon(4091762077); 昨年亡くなられた氏の代表作が『ドラえもん』であることは言うまでもないが、それだけではないことを世の中の人にもっと知ってもらいたいと思う。そのためには、何でもいいので氏のSF短編をひとつ読んでみて欲しい。きっと全部の作品を読んでみたくなるはずである。その場合は中央公論社から愛蔵版として出ているシリーズをお薦めする。1冊が千ページほどもあるので、1冊千円強×3冊の安価で氏のほぼ全部のSF短編が読める(1、3巻は大人向けの異色短編、2巻は少年向けの少年SF短編を収録)。紙は薄目だが、A5の大きなサイズで読めるのが魅力。今流行の文庫本なんか買っちゃいけません。 さて、私のお薦めは『旅人還る』という作品である。ここでは作品の内容には触れないが、この作品が創作史上一番大きなスケールの作品であると言って間違いはない。 **『時ヲすべる』 石ノ森章太郎(秋田書店) [#be16d84d] #amazon(4253183115); #ref(tokiwo.jpg,nolink,left) 氏の萬画家生活40周年記念作品。トキワ荘時代の話が載っているというので買ったのだが、他の話も非常に面白い。主人公が幽体離脱し様々な時代の人間に乗り移るというストーリーで、アメリカのドラマ『タイムマシーンにお願い』に通じるものがある(首都圏で火曜深夜に放映中でこちらもお薦め)。しかし時代が『タイム…』の方が近現代に限られているのに対し、『時ヲすべる』では原始時代から未来まで多岐に渡っている。一話完結の連載で決して大作ではないだが、「久々のSFファンタジィで読者と共に遊びたい……」と作者自らが語っている通りの描き手の楽しさが伝わってくる作品である。 **『あ!Myみかん』 柳沢きみお (小学館・全6巻) [#u47a294c] #amazon(4091503519); 『翔んだカップル』で有名で、最近は大人物を中心に活躍している氏の傑作ギャグ漫画。男ばかりの8人兄弟の夏家に、可愛いが文明を全く知らない女の子野々村みかんがやって来て騒動を巻き起こすというストーリー。よくありそうな話だが(まんがの中ならば)、とにかくギャグが冴えている。後年の『100%』や『形式結婚』とも共通する、作者が本当に楽しんでのって描いているという雰囲気が溢れている。しかも少年まんがなので文句なしに誰にでも楽しめる。『翔んだ…』や『DINO』を読んで氏の作品はジメジメした暗いものばかりだと思っている人にはぜひ読んで貰いたい(逆にもっと暗いものを読みたいという人には『朱に赤』という作品をお薦めする)。 **『夢みる機械』 諸星大二郎(朝日ソノラマ) [#v929538e] #amazon(4420137509); #ref(yume.jpg,nolink,left) ホラーものなどで有名な氏のSF短編集。人間が機械とどんどん入れ替わっていく表題作の他、ネコが顔を3回拭かなかったために東京が壊滅してしまう『猫パニック』など、ハードなものから軽いものまで粒ぞろいの作品が揃っている。特に印象深いのが『地下鉄を降りて…』という作品。地下街で迷ってしまい、地上に出られなくなってしまった男を描いたものだが、わずか16頁で我々を身近にある恐怖の世界へと連れていってくれる。ラストの描写も秀逸。「ただ誰かの後についていけば良かっただけでは……」などという疑問は口に出すまいと思わせてしまうものがある。 **『愛…しりそめし頃に…』 藤子不二雄(A) (小学館) [#o963702a] #amazon(4091837042); #ref(aishiri.jpg,nolink,left) 現在「ビッグコミックオリジナル増刊号」に連載中の、藤子不二雄の自伝『まんが道』の続編。今までとの決定的な違いは、満賀道雄が長髪になったこと才野茂が黒目になったこと。前作までに慣れている人は違和感を感じるかもしれないが、21才で坊主頭もないので当然の変更だろう。副題に〜満賀道雄の青春〜とあるように、才野茂の陰が極端に薄くなってしまったのは残念だが、より自伝的な内容になったとも言える。巻末には復刻版『ロケットくん』も収録されている。 **『七色いんこ』 手塚治虫(秋田書店/講談社(全集MT341〜347)共に全7巻) [#ib01f309] #amazon(4061759418); 手塚治虫といえば『ブラック・ジャック』が有名である。しかし、同じ「少年チャンピオン」誌上に連載され、一話完結という方式まで同じこの作品はあまり知られていないのではないだろうか。「代役専門の天才役者七色いんこはどんな役でも素晴らしい演技でこなしてしまう。しかしその正体は、開演中に劇場の観客から金品を盗む泥棒だった!」この設定だけでもいかにも面白そうだが、実は『七色いんこ』は一話一話の設定がが世界の有名な演劇を元にしてある。例えば第三話で七色いんこは「人形の家」の代役をやるが、その周囲には「人形の家」の設定を男女逆にしたような状況の人物が絡んでいるという具合である。この辺りの巧みな状況づくりに手塚治虫の非凡な手腕がフルに発揮されている。 この作品の面白さはそれだけではない。この作品で七色いんこは最初は格好いいヒーローとして登場するのだが、中盤でホンネというキャラクターが出てくるあたりから完全なドタバタギャグまんがになるのだ。一体この作品はどうなってしまうのかと思っていれば、最終回は一転して泣けるのである。最後のどんでん返しなどはこじつけの感もあるが、しっかり感動させて終わらせてくれるところに巨匠の力量を感じずにはいられない。喜劇から何からすべてが詰まった、演劇好きには特にお薦めの作品だ。 **『NEO UTOPIA Vol.24』 藤子・F・不二雄先生 追悼号(ネオユートピア) [#o18c0368] #ref(nu24.jpg,nolink,left) この本に限っては藤子ファンにしかお薦めではないのだが、とにかく内容が凄い。同人誌なのだが、故藤子・F・不二雄先生の追悼本がまだ出版されていない今(97.2.1現在)、代わりに市販してもおかしくないほどの内容を持っていると言えるだろう。全作品リストから、訃報記事スクラップ、ドラえもん最終回などの全278頁。とにかく藤子ファンの人は是非手に入れて欲しい。そしてこんなに凄い同人誌を作らせてしまう、今は亡き藤子・F・不二雄先生の偉大な功績を大いに感じていただきたい。 [[コラム]]