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#include2(SS/戻り先,,none) [[ショートショート]]>恋のショートショート *恋のオウム返し 玉生洋一 [#n91faf86] #ref(oumu1.gif); ◎シーン1・告白 「あの、僕……、前から君のこと好きだったんです。つき合って下さい!」 「あの……、私も……、前からあなたが好きだったの。つき合って!」 「本当? やったぁ!」 「ホントよ。やったわね!」 「……」 ◎シーン2・デート 「何食べようか?」 「何食べましょうか?」 「君は何が食べたい?」 「あなたは何が食べたい?」 「僕はパスタがいいな」 「私もパスタがいいわ」 「じゃあ、そうしようか……」 「ええ、そうしましょう!」 「…………」 ◎シーン3・愛の語らい 「世界で一番愛してるよ」 「私もよ」 「君なしではやっていけない」 「私もよ」 「好きだ!」 「私もよ」 「……。……嫌いだ」 「私もよ」 「……………………」 ◎シーン4・ケンカ 「どうしてお前はいつもそうなんだ!」 「どうして私はいつもこうなのかしら?」 「この先どうする?」 「どうしましょう?」 「……いい加減に自分で考えたらどうなんだ! もういい! お前となんかやってられるか。お別れだ。幸せにな!」 「幸せにね」 「……ク〜ッ!!!!」 青年は歯ぎしりをしながら、部屋を出て行ってしまった。 * * #ref(oumu5.gif); 「博士、実験は成功ですね!」 「まぁ、とりあえずはな」 「何を言ってるんですか。こんなに精巧なロボットの開発に成功したのは、世界で我々が初めてですよ。もっと喜びましょう!」 「そうだな。このロボットを大量生産することによって、世の中の無気力な人間、受身的でものを考えることをしなくなった人間たちにカツを入れられればいいのだが……」 博士はそう言うと、先ほどの青年の頭を撫でた。すると「ブウン」という音と共に、青年はグッタリと動かなくなった。 「お嬢さん、実験にご協力ありがとう。もう帰っていいよ。お礼は1万円でいいんだったかな?」 女は焦点の定まらない目を、かすかに動かしながら言った。 「……いいんでしたっけ?」 #ref(oumu6.gif); ~ ~ ~ **評価 [#la7e3d47] [&vote2(面白かった→●[708],nonumber,notimestamp);] **作者からひとこと [#n12faf0a] 何事も受身でいることほどつまらないことはありません。まず実際に頭で考え、どんどん実行、そして色々なことを実現させていきましょう! - 今週のボツ話→『恋の凹凸レンズ』『恋の往復料金』『恋の横隔膜』『恋の鴬谷』『恋の大そうじ』『恋のオーストリア』『恋のオーストラリア』(最後の3つは「オウ」でないことに気づき却下。どこかで再利用されるかもしれません……) (2000/3/15) 以前に描いた漫画(の下書き)を挿絵風アップしました。 (2006/1) **英語版 [#h2932285] -LOVE AND PARROTING **初出 [#wdda50de] -「[[ショートショート・メールマガジン]]」第55号(2000年2月4日号) [[ショートショート]]>恋のショートショート