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※この作品は『恋のジョージおじさん』の別バージョンです。

*恋のジョージおじさん 「因果応報」編   玉生洋一 [#i7c727a6]

(前略)

 ふと気がつくと、綾子は病室の白いベッドの上に横たわっていた。
「ここは……?」「気がついたんだね。良かった」「ジョージ……おじさん!」
 綾子はたまらず、おじさんの胸に飛び込んだ。待ち望んでいたぬくもりを感じながら、綾子は泣き続けた。おじさんはやさしく綾子の頭をなでる。
「トムが……、トムがあたしのことを……」
「……許してくれとは言わない。どんな償いでもするよ」
「ううん。おじさんがそんなことを言う必要はないわ。うふふ……。おじさんはやっぱりトムとは違ってやさしいのね。……今はっきりと分かったわ。わたしにはやっぱりあなたしかいない。ジョージおじさん、お願い。わたしと結婚して!」
「……それはできない」
「どうして?」
 そこにドアが開き、ひとりの青年が入ってくる。
「トム! よくもあたしをこんな目に……!!」
 青年につかみかかろうとする綾子。それを止めるおじさん。
「離して! やっぱりおじさんはトムのかたを持つのね! 父親だものね。だから、結婚だってできないって言うのよね!」
「それは違うよ……」そう言うと、おじさんは綾子に鏡を手渡した。 
 それを覗き込んだ綾子はショックのあまり失神しそうになった。
「驚くのも無理はない。君は20年の間、意識を失っていたんだ。……私はトムだよ。これは私の息子だ」
「そんな……! じゃ、ジョージは? ジョージおじさんはどこ?」
「ジョージは……親父は死んだよ。数年前にガンでね」
「……!」
 わっと泣き崩れる綾子。愛するジョージはもういない。それどころか、ジョージへの愛はまやかしだったということが、トムとジョージを間違えたことから証明されてしまったのだ。そして失った20年の人生。今更悔やんでも取り返しが付かない。
 ひとしきり泣いた綾子は、ふとトムの息子と目が合った。
 綾子は思った。「ジョージおじさんは死に、トムはもう結婚してしまったけど、この子はまだフリーよね。ジョージやトムの血を引いているなら、女性の好みも同じ筈。そうよ! わたしにはまだ希望があったわ!」
 綾子はトムに訊いた。「ねぇ、お子さんの名前はなんて言うの?」
 トムは息子を促す。「さぁ、お姉さんに挨拶なさい」
「お姉さんって……!?」驚く綾子。
 トムは言いにくそうに口を開く。「実は……、君のことが忘れられなくて、君の面影を持った女性を散々探した挙げ句……」
 ガチャ。その時、ドアから申し訳なさそうに顔を出した女性を見て、綾子は悲鳴に似た声をあげた。
「お、お母さん!?」
 トムは綾子のお母さんと結婚していたのだった。


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**作者からひとこと [#h55f4c28]
 目には目を、父には母を。
(1999/11/11)

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