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※この作品は『恋のジョージおじさん』の別バージョンです。
*恋のジョージおじさん 「禁断の恋」編 玉生洋一 [#u68226c8]
(前略)
夢か現実かはっきりとしないもうろうとした意識の中、綾子はベッドに横たわっていた。
心配そうにのぞき込むジョージおじさんとトムの姿が目に映っては消える。暗転。
目覚めた時、ベッドサイドにはジョージとトムがいた。
「ここは……?」「気がついたんだね。良かった」「ジョージ……おじさん!」
綾子はたまらず、おじさんの胸に飛び込んだ。待ち望んでいたぬくもりを感じながら、綾子は泣き続けた。おじさんはやさしく綾子の頭をなでる。
「トムが……、トムがあたしのことを……」
「……許してくれとは言わない。どんな償いでもするよ」
「おじさんがそんなことを言う必要はないわ。償いをするべきなのはあなたの方よ!」トムをきっと睨み付ける綾子。オロオロとうろたえるトム。
「(再びジョージに向き直って)うふふ……。おじさんはやっぱりやさしいのね。……今はっきりと分かったわ。わたしにはやっぱりあなたしかいない。ジョージおじさん、お願い。わたしと結婚して!」
「……それはできない」「どうして?」
「それは……私がジョージではないからだよ」そう言うと、男は綾子に鏡を手渡した。
それを覗き込んだ綾子はショックのあまり失神しそうになった。そこには40代の自分の顔があったのだ。
「驚くのも無理はない。君は20年の間、意識を失っていたんだ。……私はトムだよ。ここにいるのは私の息子だ」
「そんな……! じゃ、ジョージは? ジョージおじさんはどこ?」
「ジョージは……親父は死んだよ。数年前にガンでね」
「……!」
二人が出ていった後の病室で一人呻き泣く綾子。
愛する人も20年の歳月もすべてを失って、これからどうやって生きていけばいいのか……。唯一の頼りのトムも別の人と結婚生活を送っているらしい。
綾子はしばらくの間泣き続けていたが、フラフラと立ち上がると病室の窓を開き、ふわりと身を投げた。
それを物陰から見ていたジョージとトム。
「すまない……。許してくれトム」
「なぁに、お互い様じゃないか。これに懲りて、お互い女にはもう手を出さないようにしよう」
「あぁ。やっぱりおれにはお前だけだ」
固く抱き合い熱い口づけを交わすジョージとトム。二人は親子ではなく、同棲中の恋人同士だったのだ。
20年後というのは、綾子を自殺に追いやるためのふたりの芝居だったのである。
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**評価 [#ba55309a]
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**作者からひとこと [#y426dae9]
ひどい話。同性愛ネタというのはありがちだけど受けがいいんですよね。
(1999/11/11)
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