運命のサイコロ

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運命のサイコロ   玉生洋一

 夢の中に神様が出てきて言った。 「ここに2つのサイコロがある。ひとつは6面に『1・2・3・4・5・6』とふられた普通のサイコロ。もう一つは『3・3・3・4・4・4』とふられたサイコロ。目の合計は2つとも同じ21。どちらかひとつをを選んで転がすのじゃ。それで、お前の子供の運命が決まる」  なるほど。イチかバチかを狙うか、平均的な安定をとるかということか。  普通の人間ならばここで迷うところだが、おれは違った。 「神様。もうひとつサイコロを作ってくれないか? 『0・0・0・0・0・21』ってやつをさ」 「なんと! それは構わんが……、今までそんな人はおらんかったのじゃが、いいのかのう?」 「ああ。世界で初めてとは気持ちがいい。さあ、サイコロを貸してくれ」  神が瞬時に作ったサイコロを受け取ると、おれはエイヤッというかけ声と共に地面に投げつけた。  サイコロの目は……21!  どうだ! おれは勝負強さには自信があるのだ。

 長椅子の上で寝ていたおれは、ドアの開く音で目を覚ました。中から飛び出してきた看護婦が叫ぶ。 「おめでとうございます、世界初です! 元気な21つ子の赤ちゃんですよ!!」




評価

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作者からひとこと

 え、3つ子や4つ子はそんなにいない? きっと皆、前者のサイコロを選んで失敗しているんでしょう。  この作品、短くて単純な内容だったのですが意外と反響が多くてビックリ。何事も考え過ぎない方がいいのかも? (2000/6/17)

初出

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