今年はツイてた(ver.2)
#include2(SS/戻り先,,none) ショートショート>笑いのショートショート
今年はツイてた(ver.2) 玉生洋一†
大晦日の夜。年越し麻雀をやっていると、誰からともなくこんな話になった。 「この中で今年一番ツイてた奴って誰だろう?」 「もちろんおれだよ。何たって今のところひとり勝ちだからな。たかられるのがイヤで言ってなかったけど、今年はツイてツキまくってたね。パチンコでも競馬でも勝ちまくったし。もう笑いが止まらないよ。わはははは」男は得意げに点棒をジャラジャラとを鳴らした。 「たいした額じゃないじゃないか。今年一番ツイてたのはおれさ。実はおれ、宝くじ当たっちゃったんだ。二百万円だぜ。すごいだろう。わははははははは」男は得意げに当たりくじを見せびらかした。 「私はギャンブルにも負けてばかりだったが……別にツイていなかったわけではないぞ。何しろ、私にはギャンブルの負けなど屁でもないんだ。言ってなかったけど先月親父が死んで、この家は私のものになったんだ。わはははははははははは」男は得意げに自分の家の一室の豪華な家具を見渡した。 「みんな違うな。一番ツイてたのはおれさ」 「なんでだよ。お前に今年何かいいことあったなんて話聞いてないぞ」 「それに今もビリだしな」 「そうだそうだ。一番ツイてなかったって言うんなら分かるけどな。お前、今年会社も潰れて、借金で大変なんだろ?」 「ああ。だけどそれも今日で簡単に返済できそうだよ。いや〜、てっきりみんな貧乏だとばかり思ってたぜ。わはははははははははははははははははは」男は得意げに出刃包丁を取り出した。
評価†
[&vote2(面白かったらここをクリック![477],nonumber,notimestamp);]
作者からひとこと†
くわしくは『今年はツイてた』をどうぞ。 (1999/1/19)
初出†
- 1998年12月書き下ろし
- ウェブ公開(1999/1/19)
ショートショート>笑いのショートショート